親権について

単独親権・共同親権

未成年の子どもがいる場合、離婚する時に、離婚後の親権者を父母のどちらにするか決めなければいけません。

現状では、離婚後も夫婦の共同親権とすることはできません。

なお、令和6年に成立した改正民法では、この改正民法の施行後は、共同親権とすることができるようになりました。この改正民法は、令和8年5月までに施行されることになっています。

この改正民法が施行された後、必ず共同親権となるわけではありません。

 

親権者の決め方

夫婦の話し合いによる協議離婚では、夫婦が協議により親権者を決めることができます。

夫婦間の話し合いでは親権者を決めることができない場合、調停や裁判で親権者を定めることになります。

 

裁判所での判断基準

親権に争いがある場合、裁判手続では、子どもの利益を守ることができる適任者であるかどうかが重視されます。

裁判所が親権者を決める判断要素として次のものがあります。

 

監護の継続性

監護していない親が親権者となる場合もありますが、現実に子どもを養育監護している親が優先される傾向があります。監護養育を行ってきた親との関係を切り離すことは、子どもを不安にさせ、心理的不安定をもたらすおそれがあるからです。また、生活環境の変化は子どもに大きなストレスを与えます。そのため、これまで主に子育てを担当してきた親、同居している親が優先される傾向にあります。

 

母性の優先(主たる監護者優先)

現在は、母親を優先するという考え方は取られておらず、母性的な役割を担当する親と子の関係を重視するようになっています。

ただ、子どもが乳幼児の場合、子どもの世話は母親が中心となって行っており、母親が子どもの世話をしている時間等が父親よりも長いことが多く、母親が親権者となることが多いのが実情です。

 

子どもの意思

15歳以上の子についてはその意思が尊重されます。

10歳から14歳の子について、その子の意思が反映されます。

子どもは監護養育している親の影響を受けやすい面があり、親の気持ちを察して発言する可能性がありますので、裁判所では子の発言が本心によるものか総合的に判断されます。

 

兄弟姉妹関係の尊重

兄弟姉妹はなるべく分離しない方が良いと考えられていますが、兄弟姉妹が別々に生活している状況が続いている場合や子どもの年齢、子どもの意向などから、兄弟姉妹の親権者が父母で分離することもあります。

 

浮気等の婚姻破綻についての有責性

例えば、浮気が原因で離婚となった場合、浮気が子どもの監護養育に直接影響を与えるとは考えられておらず、離婚への有責性は親権者の判断に直結するものではありません。

もっとも、浮気等の結果、子どもの監護養育がないがしろにされて、子どもの監護養育に悪影響を与えている場合は、親権者の判断において考慮されると考えられます。

 

面会交流の許容性

離婚後も、子どもが同居していない親と継続的に交流の機会を持ち、父母両方から愛情を受けられる環境にあることは、子どもの成長にとってとても大切なことです。

一般的には、面会交流に拒否的な態度だけを理由として親権者として不適格であると判断される事案は少ないでしょうが、面会交流を実施する姿勢を持っていることは、親権者の判断において補充的に考慮されると考えられます。

 

子の奪取の違法性

父母のどちらかと安定した生活を送っている子どもを他方の親が違法に奪った場合、違法に子どもを奪った親は、親権者としての適格性に問題があるとされます。

 

親族の協力・援助

本人だけでは十分な養育が困難であっても、親族の協力が得られる場合、その事情も考慮されます(補助的な事情)。

 

経済状態

収入が低いとしても、養育費等により、ある程度経済力は補うことができるため、他の判断要素と比べて重視されていないようです。もっとも、養育費が支払われないなど、生活費に困ることもあるでしょう。児童扶養手当などの各種手当ての支給、医療費や就業費(給食費、学用品費など)の支給や免除等、行政が行っている支援を確認し、活用しましょう。

 

親権争い

子どもと離れたくないという気持ちが強いことから、親権の争いは激しくなる傾向があります。

調停や裁判では、裁判所に親権者として適切であると分かってもらう必要がありますが、どうしても感情的になってしまい、調停の場でも冷静さを欠いて、自分が親権者として適切な要素を備えていることをうまく伝えられないこともあるかもしれません。

そのような場合、親権者の判断に重要な要素、その裏付けとなる事情を適切に裁判所に伝えることができるよう、弁護士に相談することをお勧めします。

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