「親権者は相手方だけど、継続的に子供には会いたい」
子供に会いたいと思うのは親として自然なことです。
このページでは、面会交流について説明します。
面会交流とは
未成年の子どもと一緒に生活していない親(非監護親)が、子供に会うことやその他の方法で交流することを、面会交流といいます。
子どもと会うこと以外にも、電話やメール・LINEなどでやりとりする、学校行事を見学する、写真やプレゼントを送るなども面会交流です。
会う頻度、時間、場所、子どもの受け渡し方法などは、子どもの年齢・生活環境等を考えて,子どもに負担をかけることのないように十分配慮し、子供の意思も尊重して決めます。
離婚が成立する前の別居期間中でも、家庭裁判所に面会交流の申立てをすることができます。
面会交流についての基本的な考え方
子どもが一緒に暮らしていない親とも継続的な交流、関わりをもつことは、子どもの成長・発達にとってとても重要です。
家庭裁判所の実務でも子の福祉(利益)に反する事情がない限り、原則として、面会交流を認めるようになっているようです。
ただし、子どもの利益に反する場合には、面会交流が認められない場合があります。
子どもが別居している親から虐待を受けていた場合などです。
面会交流の決め方
まずは、父母の話し合いで決めることになります。
話し合いができない場合や話し合いがまとまらなかった場合は、家庭裁判所に審判を求めることができます。
実際は、審判を申し立てる前に、家庭裁判所に面会交流を求める調停を申し立てることが多いでしょう。
① 話し合い(協議)による合意
協議による合意のメリットとして、早期に解決できること、柔軟な解決が可能であること、負担が少ないことが挙げられます。
デメリットとしては、冷静な話し合いが難しいこと、相手が応じないと解決しないことが挙げられます。
審判等で裁判所が面会交流を認める場合、月1回の面会交流になることが少なくないと思われます。
これを少ないと感じる非監護親もいるでしょう。協議や調停の場合、相手が応じれば、たとえば、週1回の面会交流や宿泊を伴う面会交流について取り決めることもできます。
② 調停(裁判所での話し合い)
調停を申し立てるメリットとして、相手と直接顔を合わせることなく話し合いができること、柔軟な解決の可能性があることが挙げられます。
デメリットとしては、時間がかかること、費用等の負担が生じること、相手が応じないと成立しないことが挙げられます。
調停では、基本的に、相手方とは顔を合わせずに調停委員を介して話し合いを行います。
ただ、調停は、通常、1~2か月に1回のペースで行われますし、家庭裁判所調査官の調査が行われるなど、時間がかかります。
また、調停は、平日に行われますので、仕事をしている方は休みをとる必要があるでしょう。
弁護士に依頼する場合には弁護士費用の負担が生じます。
調停での話し合いがまとまらない場合、審判に移行させるか、調停を取り下げるか検討することになります。
③ 審判
審判では、当事者から提出された主張や資料、子どもの意向等に基づいて、裁判所が面会交流を認めるか認めないか、面会交流を認める場合の内容・条件について結論を出します。
審判のメリットとして、相手が応じない場合も決着がつくことが挙げられます。
デメリットとしては、時間がかかること、費用等の負担が生じることなどが挙げられます。
審判は、調停と同様に、平日に行われますので、仕事を休むなどの負担が生じます。弁護士に依頼する場合、弁護士費用の負担が生じます。
面会交流の制限・禁止
面会交流を拒否することは可能でしょうか?
正当な理由がない限り、面会交流を拒むことはできません。
子どもの利益に反する事情がある場合は、正当な理由があるとして面会交流を拒否することができます。
子どもの利益を害するような事情がある場合、例えば、子どもが連れ去られる可能性がある場合、非監護親が子どもに暴力をふるうなど不適切な監護養育を行っていた場合など、面会交流を制限・禁止することができます。
面会交流が制限・禁止されるのは、面会交流を行うと子の利益を害するおそれがあるケースですが、子の利益を害するおそれがあるか慎重に検討する必要があります。
非監護親が監護親に対して暴力を振るっており、そのことが子どもに悪影響を与えている場合なども、子の利益を害するおそれがあり、面会交流が制限または禁止されることがあります。
このような場合でも、事案に応じた、適切な面会交流の内容・条件を設けることで面会交流ができる事案もあるでしょう。
子どものことを考えて面会交流について決める必要があります。
面会交流をする場合も、子どもの負担にならないように配慮が必要です。