調停離婚

調停離婚とは、夫婦が、裁判所での調停という手続において合意して成立する離婚です。

 

調停離婚の流れ

以下のような流れで進行します。

 

1) 調停の申立て

夫婦のいずれかが家庭裁判所に離婚調停を申し立てます。

家庭裁判所にある夫婦関係等調整調停申立書(裁判所のホームページでも公開されています。)を用いて書面で申立てるのが一般的です。

調停申立書には、親権者、養育費、財産分与、慰謝料、年金分割に関する希望を記入する欄があります。調停申立ての時点では、相手方に支払を求める金額について「相当額」とすることができますが、調停が始まると、調停委員から具体的な金額を示すよう求められます。

金額の見当がつかない場合、相手方が意見を強硬に主張することが予想される場合など、調停委員に説得的に言い分を主張できるよう、あらかじめ弁護士に相談するか、調停の申立てを弁護士に依頼するのが良いでしょう。

 

2) 調停委員による調整と話し合い

調停では、当事者双方が自分の考えを伝え、調停委員がその調整を行います。

調停での話し合いは、裁判所から選ばれた調停委員(2名)が夫婦双方から話を聞き、話し合いをサポートする形で行われます。基本的に、夫婦が同席して直接話をすることはありません。

1回の調停期日にかかる時間は約2時間です。調停委員が、30分程度ずつ、夫婦双方から別々に話を聞き、通常それぞれから2回ずつ聞きます。

希望する条件で離婚を実現するには、調停委員に説得的に言い分を主張できるよう準備が必要です。また、主張を裏付ける証拠・資料を提出することも必要です。

 

3) 合意形成と調停調書の作成

夫婦間で合意に達した場合、その内容を調停調書にまとめます。調停調書は、裁判所が作成します。

調停が成立した後、不服を申し立てることはできませんので、調停成立にあたっては、合意する内容(調停条項)について慎重に検討する必要があります。

調停離婚の場合、調停が成立した日に離婚が成立します。

調停成立の日に離婚は成立していますが、離婚成立日から10日以内に、離婚届を市区町村役場に提出する必要があります。

 

4) 調停不成立の場合

調停はあくまでも当事者の合意を形成する手続きですので、協議離婚と同様、夫婦間で合意できなければ、調停は不成立となり、離婚は成立しません。

調停が不成立になった場合の対応として、①離婚裁判を提起する、②もう一度、夫婦で協議する、③(当分の間)離婚をあきらめる、④(機会を見て)再び調停を申し立てる、があります。

 

審判離婚

なお、家庭裁判所が調停に代わる審判を行うことで離婚が成立する場合もあります。審判離婚といいます。

家庭裁判所は、離婚調停が成立しない場合において相当と認めるときは、職権で、事件の解決のために必要な審判(調停に代わる審判)をすることができます。

調停に代わる審判に対して、審判を告げられた日から2週間以内であれば異議を申し立てることができます。異議の申立てがあれば、審判は効力を失います。そのため、夫婦のどちらかが離婚を明確に拒否しているなど、審判に対して異議の申立てがなされることが確実に予想される場合には、家庭裁判所が審判をする意義が乏しいです。そのため、審判が行われるケースは多くなく、通常は、離婚調停が不成立となった場合、離婚裁判を検討します。

 

〈審判が行われるケース〉

次のようなケースでは、裁判を経ずに審判によって離婚が成立することがあります。

① 離婚条件の大部分について合意しているが、養育費の額など一部の離婚条件について少しの差で合意に至らない場合
親権や財産分与、養育費などの離婚条件について、双方の考えが大きく違っている場合は、異議が出される可能性が高く、審判するのに適したケースとはいえません。

② 当事者が調停に参加できない事情のある場合
離婚条件については合意できているが、当事者の一方が病気などによって調停に参加できない場合に審判が出されることがあります。

 

〈審判離婚のメリット〉

・審判は非公開の手続きであり、プライバシーが守られる。
裁判は原則として公開の法廷で行われます。

・柔軟な解決が可能
家庭裁判所は、双方の衡平を考慮して、調停に表れた一切の事情を考慮して審判を行います。当事者の立場に立つと、調停に代わる審判には、家庭裁判所から、夫婦の実情をふまえた柔軟な解決案を示してもらえるというメリットがあります。

・裁判に進む場合よりも、時間や費用の面での負担が軽く済む。
裁判になると、双方が主張や証拠を提出して裁判が進みますが、通常、裁判には時間、労力、費用がかかります。審判の場合には、これらの負担を軽減できるというメリットがあります。

・強制執行できる。
審判書の送達を受けた日から2週間以内にいずれからも異議申立てがない場合、審判が確定し、判決と同じ法的効力をもちます。そのため、たとえば、養育費の支払いについて審判が出ていれば、その審判に基づいて、相手の給与を差し押さえるなどの強制執行手続きをとることができます。

 

〈審判離婚のデメリット〉

・異議申立てがなされると、審判の効力が失われる。
裁判所から送達された審判書を受け取った日から2週間以内に異議の申立てがあれば、審判は効力を失います。

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